MemPalaceとは?ローカル-ファーストのAIメモリシステムの使い方と導入ガイド
オープンソースラボ編集部 ・ 2026年10月10日
MemPalaceは、会話履歴やプロジェクト情報をローカル環境に保存し、セマンティック検索で効率よく取り出すオープンソースのAIメモリシステムです。クラウドへのデータ送信がなく、プライベートな環境で利用できます。本記事ではMemPalaceの基本的な概要から導入方法、活用シーン、利用時の注意点をまとめました。
MemPalaceの概要
MemPalaceは、Pythonで開発されたオープンソースのAIメモリシステムで、GitHub↗上で公開されています(2026年10月10日時点での累計Star数:59,497)。ライセンスはMITです。
公式の説明では「Local-first AI memory」と謳われており、会話履歴をテキストのまま保存し、セマンティック検索で検索・取り出すことができます。重要な特徴として、要約や言い換えを行わず、原文のままの保存(Verbatim storage) を実現しており、取得したテキストの信頼性が高い点が挙げられます。
公式ドキュメントのベンチマークでは、LongMemEvalにおいて96.6% R@5の精度を達成しており、ベンチマーク最高水準となっています。また、ローカルで動作するためAPIコールが一切発生しません。
主な特徴・できること
1. 構造化されたメモリ管理
MemPalaceでは、情報を階層的に整理できます。「People and Projects」は wings(翼)、「Topics」は rooms(部屋)、実際の情報は drawers(引き出し)に保存される構造になっています。この設計により、単なるテキスト検索ではなく、スコープを限定した検索が可能です。
詳しくは公式ドキュメント↗で説明されています。
2. プラグ可能なバックエンド
デフォルトではChromaDBを検索バックエンドとしていますが、バックエンドは交換可能な設計になっています。mempalace/backends/base.py↗でインタフェースが定義されており、他のバックエンドを導入する場合も、システムの他の部分に影響を与えません。
3. プライベート環境での動作
データはローカルマシンに保存され、明示的にオプトインしない限りクラウドには送信されません。セキュリティ要件が高い環境での活用が見込めます。
導入方法
推奨:uv を使った導入
公式ではuv↗を推奨しています。uv tool installでMemPalaceをPATHに配置でき、PEP 668エラーの回避や依存パッケージとの競合を防げます。
uv tool install mempalace
mempalace init ~/projects/myapp
pipx を使った導入
uvがない場合は、pipx↗も同じ方法で使えます。
pipx install mempalace
pip を使った導入
仮想環境内でimport mempalaceを使いたい場合は、virtualenvを作成したうえで、plainなpip installも利用できます。
python -m venv .venv && source .venv/bin/activate
pip install mempalace
Docker での導入
ローカルのPythonツールチェーンを使わない場合、Dockerコンテナイメージが利用できます。amd64とarm64の両対応で、Apple Siliconでもネイティブ動作します。
docker pull ghcr.io/mempalace/mempalace:latest
詳しい使用方法は公式README↗で説明されています。
エージェント対応セットアップ
AIコーディングエージェント(例えばClaude Code)との連携を想定した、スキル駆動型セットアップも提供されています。
npx skills add MemPalace/mempalace
この方法では、システムの検出、Pythonパッケージのインストール、MCPの設定が自動化され、ローカルパレス、共有脳ハブ、既存ハブへの接続など、構成を選択できます。
ライセンス・バージョン情報
MemPalaceのライセンスはMITで、商用・非商用を問わず自由に利用できます。
最新リリースはGitHub Releases↗から確認できます。v3.10.0(2026年9月16日公開)では、MCPサーバーの軽量化、XDG対応、ストレージ修正などが実施されています。
活用シーン
コーディングエージェントでの会話履歴管理
MemPalaceは、Claude Codeなどのコーディングエージェント上での会話や指示を長期保存し、後から検索・参照するのに適しています。公式では、Claude Code セッション(30日で期限切れ)の情報を保持する方法として、MCPサーバー経由での接続が推奨されており、Claude Code保持セットアップチェックリスト↗が提供されています。
プロジェクト・人物に関する情報の構造化検索
翼、部屋、引き出しの階層構造により、プロジェクトごと、トピックごとに情報を分類した検索が可能です。大規模なドキュメント群の中から関連情報を効率的に取り出せます。
プライベート環境でのデータ管理
すべてをローカルで処理できるため、機密情報が多い環境での活用が見込めます。
料金
MemPalaceはオープンソースプロジェクトです。ソースコードの取得、インストール、使用はすべて無料です。
利用時の注意点
1. 公式サイト・配布元の確認
公式README では、MemPalaceに詐称サイト(impostor sites)が存在することが警告されています。公式な情報源は以下の3つのみです:
.tech、.net、その他の.comバリアント(公式以外)を含むドメインはすべて詐称です。マルウェアが配布される可能性があるため、公式ドキュメント(docs/HISTORY.md↗)で詳細を確認してください。
2. Claude Code セッションの期限切れ対策
READMEでは、Claude Code セッションは30日で有効期限が切れ、自動保存フックがない場合はデータが失われることが強調されています。MemPalaceを使う場合、Claude Code保持セットアップチェックリスト↗に従ってMCP経由での接続を設定することが推奨されています。
3. Docker 使用時のマウント権限(Linux)
Linux環境でDockerを使う場合、コンテナはuid 1000で動作し、バインドマウントはホストの所有権を保持します。そのため、マウントディレクトリがuid 1000で読み取り可能である必要があります。0700パーミッションのディレクトリは読み取れず、PermissionErrorが発生します。詳しくは公式README↗を参照してください。
4. Android / Termux での制限
Android / Termux上でのネイティブインストールは現在サポートされていません。Android ARM64ユーザーは、Debian PRootコンテナを使う必要があります。Termuxインストールガイド↗で手順が説明されています。
5. 依存ライブラリの競合
MemPalaceはchromadb、numpy、grpcioなどの複数の依存パッケージを持ちます。pipでグローバルにインストールすると、既存環境との競合が発生する可能性があります。上記の推奨導入方法(uv、pipx、または仮想環境)を使うことで競合を避けられます。
よくある質問
Q. MemPalaceはどの言語で書かれていますか?
A. Pythonで開発されています。ローカル環境またはDockerコンテナでの動作が前提です。
Q. クラウドストレージやオンライン同期に対応していますか?
A. READMEでは、ローカルファースト設計が強調されており、デフォルトではクラウド送信はありません。ただし、チームサーバー構成(deploy/docker-compose.server.yml)も提供されており、詳細は公式ドキュメントで確認してください。
Q. 既存のバックエンド(データベース)から移行できますか?
A. バックエンドはプラグ可能な設計ですが、具体的な移行手順については公式ドキュメントを確認してください。
Q. チーム環境での運用に対応していますか?
A. deploy/docker-compose.server.ymlでチームサーバー構成が用意されており、共有脳ハブ構成が可能です。詳細は公式ドキュメントをご参照ください。
Q. エンベッディングモデルはカスタマイズできますか?
A. デフォルトではminilmモデル(約80 MB)が使われています。より大きなモデル(embeddinggemma、約300 MB)も選択可能です。詳しくは公式README↗を確認してください。
関連ツール
MemPalaceと組み合わせて使えるツールとして、以下が参考になります:
- hermes-agent:ユーザーと共に成長するAIエージェント。MemPalaceのメモリシステムと連携して、過去の学習を活かしたエージェント操作が考えられます。
- firecrawl:Web情報をLLM向けに検索・スクレイピングするAPI。外部情報をMemPalaceのメモリに取り込む際に有用です。
まとめ
MemPalaceは、テキスト履歴をローカルに保存し、セマンティック検索で効率的に管理するオープンソースのAIメモリシステムです。
主な利点:
- 原文のまま保存し、要約による情報損失がない
- APIコール不要で、完全にローカル環境で動作
- 階層構造により、スコープを絞った検索が可能
- プラグ可能なバックエンド設計で、カスタマイズ性が高い
導入時の注意:
- 公式サイト以外は詐称の可能性がある
- Claude Code使用時は30日の期限切れ対策が必要
- 依存パッケージの競合を避けるため、uv、pipx、または仮想環境の使用を推奨
- Linux + Dockerの場合、マウント権限の設定に注意が必要
セキュリティ要件が高い環境や、会話履歴の長期保存が必要なプロジェクトでの利用に向いています。導入前に、公式README↗と公式ドキュメント↗で詳細を確認することをお勧めします。
公式資料
関連リンク・公式情報
ここで紹介したツールの一次情報(公式サイト・ソースコード)と、オープンソースラボ内の関連ページをまとめました。導入検討の際にご活用ください。
公式サイト・ソースコード(外部リンク)
オープンソースラボの関連ページ(内部リンク)
