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Slack代替オープンソースチャット5選を徹底比較

Slack代替オープンソースチャット5選を徹底比較

オープンソースラボ編集部2026年6月12日

Slack代替のオープンソースチャットを探しているなら、Mattermost・Rocket.Chat・Zulip・Element・Hulyの5つが現時点での有力候補です。いずれもセルフホストによりデータを自社サーバーで管理でき、ユーザー数増加に伴うライセンス費用の上昇を抑えられます。この記事では、各ツールの特徴・向いている企業規模・ライセンス・GitHubスター数などの一次データを整理し、選び方と移行時の注意点までまとめます。

主要Slack代替OSSツールのGitHubスター数推移比較

なぜSlackの代替を探すのか

Slackは使い勝手の良いビジネスチャットですが、有料プランのコストはチームの成長とともに膨らみます。2023年以降のプラン改定で、メッセージ履歴や機能制限が以前の無料プランから大幅に縮小され、「実質的に有料プランへの移行を迫られた」と感じた担当者も多いでしょう。

Slack代替のオープンソースチャットを選ぶ主な動機は次の3点に集約されます。

① 費用の削減: OSSはソフトウェアライセンス費用が無料または大幅に低コストです。自社サーバーやVPSの運用コストはかかりますが、ユーザー数が増えても料金が比例して増えません。

② データ主権の確保: 金融・医療・行政・防衛などコンプライアンス要件が厳しい業種では、チャットログを外部SaaSに置けないケースがあります。セルフホストであれば通信データを完全に自社管理できます。

③ カスタマイズ・ベンダーロックイン回避: OSSはAPIやプラグインで自社業務システムと深く連携でき、特定ベンダーへの依存を排除できます。

Slack代替OSSチャット 主要5ツール比較表

ツールGitHubスターライセンス主な言語セルフホスト日本語対応向いている規模
Mattermost⭐37,266Other (EE/TE)TypeScript中〜大企業
Rocket.Chat⭐45,438OtherTypeScript中〜大企業
Huly (platform)⭐26,172EPL-2.0TypeScript一部スタートアップ〜中小
Zulip⭐25,345Apache-2.0Python小〜中規模・分散チーム
Element Web⭐13,200AGPL-3.0TypeScriptセキュリティ重視組織

※GitHubスター数は2025年7月時点の公開情報をもとにしています。

各ツール詳細

Rocket.Chat — カスタマイズ性と顧客対応を両立したい企業に

Rocket.ChatのGitHubリポジトリ

Rocket.Chatは、GitHubスター数45,438(2025年7月時点)を誇るOSSチャットの中でも特に機能が豊富なプラットフォームです。チャンネル・DM・音声ビデオ通話(WebRTC)に加え、Webチャット・メール・SNSを一元管理するオムニチャネル対応が大きな特徴です。

社内コミュニケーションツールとしてだけでなく、顧客サポート窓口を統合したい企業にも向いています。近年は「ミッションクリティカルな運用のためのセキュアな通信基盤」を掲げ、政府・防衛分野での採用も進んでいます。

APIとアプリマーケットプレイスによる拡張性も高く、既存の社内システムやJitsi Meetなどのビデオ会議ツールとの連携も可能です。ライセンスは独自のOther(コミュニティ版は無料、エンタープライズ版は有償)で、商用利用前にライセンス条文の確認が必要です。

向いているケース: カスタマイズを重視する中〜大企業、顧客チャットと社内チャットを統合したい企業、セキュリティ要件の厳しい組織

Mattermost — DevOps・コンプライアンス重視の組織に

MattermostのGitHubリポジトリ

MattermostはGitHubスター数37,266を持つ、Slack代替の代名詞的な存在です。Go+React製でオンプレミスやプライベートクラウドへの導入が容易で、チャンネルベースのメッセージング・スレッド・通話・画面共有に加え、プレイブック(運用手順の自動化)とボード(カンバン管理)機能も内包します。

GitLab・Jira・GitHub ActionsなどのDevOpsツールとの連携が豊富で、ソフトウェア開発チームが使うチャットとして特に評価されています。金融・政府機関・防衛などコンプライアンス要件が厳しい組織で多数の導入実績があり、データの所在を完全管理できる点が選ばれる最大の理由です。

日本語UIも対応しており、Slackからの移行コストが比較的低い点も魅力です。ライセンスはOther(Team Edition=無料のOSS版と、Enterprise Edition=有償版)で、商用利用の際は版の違いを確認してください。

向いているケース: DevOps・開発チーム、金融・行政・医療などコンプライアンス重視の中〜大企業、外部SaaSにチャットログを置けない組織

Huly (platform) — ツールを統合してコストを下げたいスタートアップに

HulyのGitHubリポジトリ

Hulyは「Linear+Slack+Notion+Motion」の代替を1つのプラットフォームで実現することを目指すOSSです。GitHubスター数は26,172(ライセンス: EPL-2.0)。

プロジェクト管理(イシュートラッカー)・チームチャット・ドキュメント・Wiki・HR管理・採用管理(ATS)・CRMまでを統合しており、複数のSaaSを契約しているスタートアップや中小企業にとって、ツール統合によるコスト削減と管理負荷の軽減が期待できます。UIはLinearを思わせるモダンな設計で、仮想オフィス機能による音声・ビデオ通話にも対応します。

ただし、まだ開発途上の機能も多く、日本語対応や日本語コミュニティのサポートは限定的です。本格導入前にPoC(概念検証)での評価を推奨します。

向いているケース: プロジェクト管理・チャット・ドキュメントで複数SaaSを契約しているスタートアップ、ツール統合でコストを下げたい中小企業

Zulip — 分散チームの非同期コミュニケーションに

ZulipのGitHubリポジトリ

ZulipはGitHubスター数25,345、ライセンスはApache-2.0のOSSチャットです。「チャンネル×トピック」という独自のスレッドモデルが最大の特徴で、すべての会話にトピック名が付くため、後から文脈ごとにキャッチアップできます。

SlackやDiscordでは流速が速いと会話が埋もれがちですが、Zulipでは未読が溜まっても「どのトピックの議論か」が明確なため、非同期コミュニケーションとの相性が抜群です。Python本体の開発コミュニティなど大規模OSSプロジェクトで実際に使われており、信頼性の高さを示しています。

Apache-2.0ライセンスで商用利用も安心でき、Python+Django製でセルフホスト導入が可能です。デスクトップアプリ・モバイルアプリも整備されています。

向いているケース: リモート・分散チーム、非同期作業が多い組織、チャットの流れが速すぎて議論が埋もれることに悩む小〜中規模チーム

Element Web — フェデレーションと暗号化を重視する組織に

Element WebはGitHubスター数13,200(ライセンス: AGPL-3.0)、分散型通信プロトコル「Matrix」の代表的なWebクライアントです。

Matrixはサーバー同士がフェデレーション(連合) する設計で、自前サーバーを立てながら他組織のMatrixサーバーとも通信できます。エンドツーエンド暗号化が標準実装されており、フランス政府・ドイツ連邦軍など安全保障分野での採用実績があります。ブリッジ機能により既存のSlack・Teams・IRCとの相互接続も可能です。

ベンダーロックインを根本から排除したい組織や、特定のクラウド事業者に依存しない分散型基盤を構築したい団体に最適です。一方、セットアップの複雑さとUXの学習コストはやや高く、ITリテラシーの高い管理者が必要です。The Lounge(Web IRCクライアント)と組み合わせてレガシーIRCとの橋渡しとして活用する事例もあります。

向いているケース: 行政機関・防衛・金融など主権性・暗号化を最優先する組織、複数組織をまたいだセキュアな連携が必要な場合

ツールの選び方:企業規模・要件別ガイド

優先要件おすすめツール理由
Slackに近い使い心地・DevOps連携MattermostUIが類似、Git/Jira連携が豊富
顧客チャット統合・高カスタマイズRocket.Chatオムニチャネル対応、API拡張が充実
プロジェクト管理ツールの統合Hulyチャット+PM+Docsがオールインワン
非同期・分散チームの情報整理Zulipトピック型で過去ログを追いやすい
エンドツーエンド暗号化・分散型Element WebMatrixプロトコルで最高水準のセキュリティ

選定の際は次のチェックリストも活用してください。

  • チームの技術力: サーバー管理・Dockerの知識があるか
  • ユーザー数と将来の拡張計画: スケールアウト時のコストも試算する
  • コンプライアンス要件: 暗号化水準・データ保存場所の規定
  • 既存ツールとの連携: GitLab・Jira・Novu(通知基盤)などとのインテグレーション
  • 日本語サポート: UIの日本語化と日本語ドキュメントの充実度

移行時の注意点

SlackからOSSチャットへ移行する際に現場でよく発生するトラブルを整理します。

1. メッセージ・ファイル履歴の移行 Slackのエクスポート機能(有料プランのみフル履歴)でJSON形式のデータを取得し、各OSSの移行スクリプトやサードパーティツールで変換します。MattermostはSlackインポート機能を公式サポートしており比較的スムーズです。Rocket.Chatでも移行ツールが提供されています。

2. インテグレーションの再設定 SlackのBotやワークフローは各OSSで作り直しが必要です。Webhook・APIの仕様差異を事前に調査し、重要な自動化フローから優先的に移行計画を立ててください。

3. サーバーインフラの準備 オンプレミスの場合はサーバースペックの見積もりが重要です。Mattermostの公式ガイドでは50ユーザー程度で2コア・4GBメモリを推奨しています。クラウドVPSでの運用も一般的で、LiveKit(リアルタイム音声・映像基盤)などと組み合わせてビデオ通話機能を強化する構成も選択肢の一つです。

4. ユーザーへの教育とコミュニケーション設計 Zulipのトピックモデルなど、Slackと異なるUXに慣れるまで一定の学習期間が必要です。移行前にルールを整備し、β期間を設けて並行運用するのが現実的です。

5. バックアップ・アップデート運用 自社でサーバーを管理するため、定期バックアップと定期的なバージョンアップが必須です。OSSはセキュリティパッチの適用タイミングを見落とさないよう、リリースノートをウォッチする体制を整えてください。

よくある質問

Q. 無料で使えるSlack代替OSSはありますか?

はい、今回紹介した5ツールはいずれもコミュニティ版・コア機能が無料で利用できます。Zulip(Apache-2.0)は商用利用も含め制限がほぼなく特に使いやすいライセンスです。MattermostとRocket.Chatはエンタープライズ向け追加機能が有償ですが、コア機能は無料のOSS版で利用できます。Element Web(AGPL-3.0)は改変・再配布時にソースコード公開義務がある点を把握しておきましょう。

Q. 日本語で使えますか?

Mattermost・Rocket.Chat・Zulip・Element WebはいずれもUIの日本語化に対応しています。Hulyは現時点で日本語UIの対応が限定的で、英語環境での利用が前提となります。日本語ドキュメントはMattermostとRocket.Chatが比較的充実しています。

Q. Slackのような通話・画面共有機能はありますか?

Mattermost・Rocket.Chat・Huly・Element Webはいずれも音声・ビデオ通話と画面共有に対応しています。Zulipはテキストチャット中心で通話機能は限定的です。より本格的なビデオ会議が必要な場合は、Jitsi MeetBigBlueButtonとの組み合わせも有効です。

Q. クラウドホスティング版はありますか?

Mattermost・Rocket.Chat・Zulipはそれぞれクラウドホスティング版(SaaS版)も提供しており、サーバー管理なしに始めることができます。ただし、データ主権・コスト削減を優先するならセルフホストがより適しています。Hulyも公式のクラウド版(huly.io)を提供中です。

まとめ

Slack代替のオープンソースチャットは、費用・データ主権・カスタマイズ性のいずれかを重視する組織にとって現実的な選択肢です。選び方を簡単に整理します。

  • DevOps・コンプライアンス重視Mattermost
  • 顧客チャット統合・高カスタマイズRocket.Chat
  • ツール統合でコスト削減Huly
  • 非同期・分散チームの情報整理Zulip
  • 最高水準の暗号化・分散型Element Web

まずは小規模なチームでPoC(概念検証)を行い、業務フローへの適合性を確認してから本格移行することをおすすめします。いずれのツールも活発なOSSコミュニティに支えられており、長期的な運用に耐える成熟度を持っています。

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